意外と奥が深い まちづくりマルシェ論③ 〜豊北町のマルシェに見るそれぞれの特徴(二見みなとマルシェ)

INDEX
今後の豊北町でのマルシェの取り組みかたについて考えるシリーズ第3弾です。
第1弾の記事では日本の地方における「マルシェ」の立ち位置的な部分について、データや憶測をもとに勝手に考察してみました。
第1弾「意外と奥が深い まちづくりマルシェ論① 〜なぜわたしたちはマルシェをするのか」↓
そして第2弾として「角島マルシェ」を紹介しました。
意外と奥が深い まちづくりマルシェ論② 〜豊北町のマルシェに見るそれぞれの特徴(角島マルシェ)↓
続いて今回は第3弾として「二見みなとマルシェ」を紹介します!
二見みなとマルシェ
2023年10月7日(日) に二見で開催された 「二見みなとマルシェ」。
#二見みなとマルシェ、お店と商品のラインナップが「みなと!」「秋!」って感じがブリバリで、ぶちクソ尊い…‼︎
四つ葉農園は、特別な熟成を施した #紅はるか、3種のさつまいものチップス、今日はじめて収穫したミニトマトなど! pic.twitter.com/nEHqboW6bW
— シン|まちづくりを研究する大学院生/大学事務職員 (@shinssurfnturf) October 8, 2023
二見みなとマルシェの概要
こちらは、二見漁港の隣りで営業していた、知る人ぞ知る伝説のレストラン「シーフレンズふたみ」が閉店し、心にポッカリ穴が空いてしまった “看板娘” さんが、お友だちと
「淋しいね、なんかやりたいね」
って話し合ったことがきっかけだったそうです。
そもそも シーフレンズふたみ 自体が、二見地区の元気なお母さん方が、漁師町の料理を提供し、接客も賑やか、厨房も賑やかっていう超アットホームな雰囲気も魅力のお店だったんです。
誤解を避けるために敢えて言うと、「お母さん方」の中心メンバーはお孫さんもおられる世代で、「看板娘」はそのお母さん方の娘さん、わたしの中学校の先輩です。
料理も美味しくてリーズナブル、お店の雰囲気も(もちろんいい意味で)「元気の押し売り」状態。
ものすごくコアなファンも多くて、メチャメチャ人気だったんですが、年月を重ねるとオープン当時の元気を毎日維持することが困難になり(それでも一般的な お母さん方世代 の人に比べると全然元気だったんですが…)
二見みなとマルシェの開催状況
天候
開催当日は雨の予報だったので、ずぶ濡れ覚悟で臨んだのですが、多少は降ったものの、傘が必須、ずぶ濡れというほどではなく、ギリギリ「気にならない」範囲の雨でした。
二見みなとマルシェはステージイベントが多数予定されていたので、シーフレンズふたみ の軒先の屋根付きステージがドンピシャで、大正解でした。
角島マルシェでも書きましたが、マルシェイベントって天候の心配がつきものなので、会場内にハードな屋根のある施設や建物があるっていうのは強みになりますね。
会場の選定にもいろいろな要素があり、景観、アクセス、使い勝手、キャパシティ、駐車場…などなど、トレードオフになる要素もあったりして、優先順位がつけ難いものです。でも意外と雨天時の対策のとりやすさっていうのは重要かもしれませんね。
来場者
二見みなとマルシェ は 地域のため を前面に押し出したイベントでありつつ、シーフレンズふたみ のファンミーティング的な要素もあり、それが不思議な魅力を醸し出していました。
例えばこれがアイドルのファンミーティングだったら、会場内でアイドルだけが異彩を放ち、そこに群がるファンたち、そしてセカセカ働くスタッフ、という分かりやすい外観だったでしょう。
これを 二見みなとマルシェ に置き換えると、アイドル = シーフレンズのおばちゃん、ファンたち = 地域のおばちゃん って構図なので、とにかくそこら中で おばちゃんたちが「アラァ〜ッ、久しぶり!!」「なんかね!元気しちょったほかね!!」と声をかけまくっていて、どっちがアイドルでどっちがファンなのか分からない、
むしろ会場内全員アイドル
みたいな状態で熱気に溢れていました。
もちろんチラシやSNSで知って、このイベントを目当てに来られた方もおられたようでしたが、全くアウェー感のないウェルカムな雰囲気は、港町ならではの社交的なDNAが為せるワザなんだろうな…と、山育ちのわたしは感心しちゃいます。
イベント
このイベントの発起人、シーフレンズふたみ の看板娘 さんと、お友だちのお母さん(わたしとも、息子の小学校の保護者つながりです)は、ホスピタリティの豊かな方たちだし、きっと幼い頃からコミュニティの中で育ってこられたんだろうな…と、ビシバシ感じます。
だから 二見みなとマルシェ のステージイベントも、様々な方を上手に巻き込んで、見せかたも上手に考えて、見る人がみんなハッピーになるイベントが盛りだくさんでした。
だって一発目がいきなり マグロ解体ショー なんてインパクト強烈すぎでしょ!
しかもこれが、とってつけたようなビジネスマグロ解体ショーじゃなくて、二見の漁師さんが釣ってきたマグロを、シーフレンズの板前さん、それも元・教員という方が解体するという 地産地消マグロ解体ショー っていうのがいい!
大間のマグロ!寿司 ざ ん ま い !! みたいなショーでなくっていいんです。
司会が「マグロを釣ってきた◯◯さんです!」って、釣ってきた漁師さんを紹介したり、「◯◯先生が見事な包丁さばきでマグロを解体しています!」って、昔からの習慣でいつもどおり「先生」って呼んでたりして、二見の日常をステージで紹介している感じで、すごくアットホームなの。これは見る人が見たら感動して泣いちゃうんじゃないかな…。
それから、地元出身の衆議院議員さんとのジャンケン大会!
まだお若いこの議員さんもやっぱり コミュニティの子 なんです。老若男女、みんなが「シンちゃーん!」って呼んでじゃんけん大会に興じているのは、同じ「シンちゃん」としては負けた感ハンパない感じでしたが…。
じゃんけん大会は2回戦行われ、なかなかの競争率でしたが、2回とも子どもが優勝して、フグ刺しセットと和牛をそれぞれ勝ち取ったのもすごく微笑ましい光景でした。やっぱこういう時には子どもが勝ってワッと盛り上がるのがいいんですよね。それで子どもも素敵な思い出ができて、地域への愛着が深まる…最高じゃないですか。
さらにさらに、シーフレンズ二見 の常連さんに、トランペットの演奏をされている方がいて、このイベントの開催を聞きつけて、ぜひ演奏したい!と申し出てくださったそうで、「よりこと社長」というトランペットとチューバの金管デュオでショーを開催してくださいました。
素晴らしい演奏もさることながら、会場の子どもたちにもシンプルなパーカッションを持たせて演奏に加わってもらうっていうフレンドリーなスタイルもイベントの雰囲気にピッタリでした。
残念ながらわたしはここで会場を後にしなければならなかったのですが、この後も利き酒ならぬ「利き梨」コンテスト(豊北町は梨の名産地なんです)や、山口県民は今や全国的にも知られる餅まき大好きケンミンですから、イベント最後の締めくくりに盛大に餅まきなど、マジでハズレなし、スベリ知らずの大盛り上がりステージだったようです。
出店
今回の 二見みなとマルシェ の最大の売りは、確か
「あの “伝説の食事処” シーフレンズふたみ の料理がまた食べられる!」
だったはず…アレ?違ったっけ…?
ちょっと自信がなくなるぐらい他が盛り上がり過ぎてたんですけど、でも、目玉のひとつだったことは間違いありません。
っていうかマルシェだし、お買い物があってナンボですから。
シーフレンズふたみ さんは、季節のお魚で作る煮魚や、サザエ飯、ちらし寿司など、「帰省したら必ず食べたい系」の料理がたくさん並んでて、グッとくるものがありました。
他にも、実は今度からシーフレンズふたみの店舗を活用して開店する予定の料理屋さん(わたしの通ってた中学校の隣りの中学校の同級生が調理します)が出店してたり、豊北町内の 四つ葉農園 さんが鮮やかな季節の野菜を販売してたり、地域の方のバザーやメダカの販売など、コンパクトな会場にギュッと詰まった感じで非常に賑わいました。
それから、車を乗り入れたキッチンカーは2台。
1台は日頃は下関市内ではありますが少し離れた菊川町で出店している Twenty さん。
日頃はあまり菊川町以外で出店することがないそうで、非常に貴重な出店です。
クロッフルなどのカフェスイーツ中心に販売されています。
で、カフェスイーツがあるならコーヒーも!ということで Amagase Coffee さん。
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Amagase Coffee さんがよく出店されているジェラート店 きたうらきららジェラートMamena さんも、シーフレンズふたみ の店舗の中で出店されてました。
シーフレンズふたみ の店舗の中には、かわいいケーキなどを販売する方や、ハンドメイドのアクセサリーを販売する方もおられて、こちらも賑わってました。
これ、上手いな…って思ったのは、風に弱いアクセサリーやハンドメイド類は屋内に収まってるので、例え海沿い、港を会場にしていても、吹きっさらしの浜風を心配する必要がないってことです。
二見みなとマルシェは、空間の使い方も非常によくデザインされてたな…という印象でした。