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豊北町の移住者誘致と空き家問題を考える(ほうほく未来応援隊 第1回役員会)

INDEX

  1. ほうほく未来応援隊とは
  2. 発起人の舩木校長って?
  3. 具体的な取り組み
  4. 豊北町の課題とのリンク
    1. ①人口減少問題
    2. ②空き家問題
    3. 豊北町の空き住居
  5. 移住者を受け入れるために
    1. どうする豊北町の移住者向け住まい問題

2023年9月18日に、豊北小学校の舩木校長の呼びかけで町内の様々なバックグラウンドを持つ方が集まり、「ほうほく未来応援隊」の第1回役員会が開催されました。

ほうほく未来応援隊とは

豊北町内の全ての小学校が統合し、豊北小学校が開校してから3年間で、開校当時には約200名だった児童数が約150名まで減少しました。3年間で50名も減少してしまうということは、極端な話、単純計算であと10年もすれば児童数ゼロになってしまう、小学校が消えてしまう、ということになってしまいます。

実際に、2022年度に豊北町で誕生した赤ちゃんは9名しかいませんでした。
わたしが子どもの頃には8つの小学校があり、ざっと200名は出生していたのと同じエリアで9名。

もう本当に待ったなしの状況なんです。

まちがなくなってしまうぞ、と。

そこで、「今住んでる人たちだけでなんとかしよう」ではなく、移住者を積極的に受け入れ、とにかく児童数を確保して豊北小学校の存続を中心とした様々な取り組みを展開していこう!というプロジェクトとして結成されたのが「ほうほく未来応援隊」というわけです。

発起人の舩木校長って?

2023年度から豊北小学校の校長に就任した 舩木美弘 先生は、前任の萩市 佐々波小学校で校長を務めている間に、今回のように「ささラブ応援隊」というチームを立ち上げ、移住者の獲得に注力されていました。

当時、佐々波小学校には校区内に未就学児がおらず、このままでは休校になってしまうというまさに崖っぷちの状況であったところを、在校生の保護者や、移住者を含む地域住民による「ささラブ応援隊」の活動によって移住者が増え、なんと児童が10名増える見込みとなりました。

これは「佐々波のキセキ」として県内のさまざまなメディアに取り上げられ、ニュースとなっています。

舩木校長は、これと同じ「豊北のキセキ」を起こそうと、「ほうほく未来応援隊」の結成を呼びかけた、というわけなんですね。

「キセキ」や「応援隊」が佐々波と全く同じなのがアレですが、これは一度成功した実績のある「パッケージ」である、と考えると、ネームバリューのある商品名のようなものなので、敢えてそこは気にしないようにしたいと思います。

具体的な取り組み

舩木校長の経験から、移住を決定するための条件として、①住まい と ②学校 は セット なのだそうです。

移住を考えた時に、①こんな家に住めます だけ分かったとしても、そこで子育てを考えた時に、②こんな学校に通えます も分からないと 移住を決断することはできない。

逆に、魅力的な住まいと学校があることが同時に分かると、移住の決断がグググッと近くなる!ということなんですね。

佐々波地区でも「SMOUT」というプラットフォームなどを利用して、「佐々並小学校と住まいの見学会」というイベントを何度も開催していますね。ググってみると、これまた募集や当日の様子など、さまざまな媒体で紹介されています。

豊北町の課題とのリンク

①人口減少問題

豊北町最大の課題は間違いなく 人口減少 です。

まちづくりに関わるあらゆる取り組みは、最終的に「人口減少問題を解決するため」に動いていると思います。
マルシェイベントだってアウトドアミーティングだって、ビーチクリーンだって花壇の整備だって、それがみんなの「豊北町に住みたい」「豊北町に関わりたい」「豊北町のために何かをしたい」につながって、ファンを増やして、人口減少が解決するといいな、っていう背景のはずです。

そう考えると、「豊北町への移住者が増える」「豊北小の児童が増える」っていうのはこれ以上ないぐらいに直球な、人口減少を解決するためのプロジェクトです。

②空き家問題

地方の人口減少に悩む田舎で、同時に発生している大きな問題は 空き家問題 です。
豊北町も多分に漏れず、長いこと人の住んでいない空き家が劣化し、防災・防犯等の心配になったり、景観に影響したりといった問題が生じています。

しかしこれらの空き家がしっかり把握・管理できて、移住者の住まいとして提供できれば、空き家問題は解決します。

豊北町の空き家対策の現状

豊北町には、空き家対策に関心の高い住民はとても多い感触があります。

「空き家」と言っても、イメージしやすい、日常的に人が住んでいない、個人の住居としてのいわゆる「空き家」だけでなく、「空き店舗」や「遊休公共施設」まで解釈を広義にすると、シャッター街になってしまった商店街や閉校した学校の校舎なども大きな空き家として捉えることができます。

ほうほく未来応援隊が注目するのは「空き住居」。移住希望者に提供できる住まいとして、いかに空き住居を活用できるのか、を考えます。

豊北町の空き住居

日常的に人が住んでいないという「空き住居」としての空き家は、豊北町内に多く存在しています。ただそれが本当にこれからも誰も住むことのないガチの空き家なのか、年に数回風を通したり、掃除をするためだけに家主が帰ってくる空き家なのか…「空き家レベル」というか、空き家の程度、どのくらい空き家なの?という情報は集約されていません。

それに、日頃は住んでいないんだけれども、先祖代々の仏壇がある、神棚がある、敷地内にお墓がある、家財が残っているなど、空き家なんだけど、物理的な事情でなかなか活用できない状態と言う物件も多数存在しています。

こんなふうに、パッと見て「なんとなく日頃人が住んでいないよな…」っていう住居は確かにたくさんあるけれど、空き家の活用するために必要な情報は集約されておらず、例えば移住希望者から問い合わせがあったとしても、「賃貸が可能な空き家」に関する的確な情報は提供できる状態にないと言うのが現状です。

下関市にも空き家バンク等の制度はあるのですが、豊北地域においては、あまり活用されていなかったり、あるいは認知されていないという感触があります。

豊北町を離れて生活をしていて、豊北町の家をなんとかしたい…例えば必要な人に賃貸したいけれども、どうしていいかわからないと言う人も、実際には一定の人数いるようです。

今回の会議には、豊北町内で廃棄物処理の会社を経営している方もおられ、空き家の家財の処分などもバッチリ引き受ける体制があり、それに関するパンフレットも市と民間が共同で制作しているのですが、それもイマイチ認知されていないようです。

そこで、情報が提供されるのを待つのではなく、豊北町内の各地区で、それぞれに空き家情報を収集しよう!ということになりました。

情報収集の方法は、地区ごとに適した手段で、ってことなのですが、基本的には人海戦術です。

例えばある地域は 自治会長 が、ある地域は 振興協議会 の重鎮が、地下でヒアリングを行って情報収集をするというもの。

とにかく空き家情報を登録するためには「しっかりした情報」を掴むということが重要です。「しっかりした情報」とは、先に挙げたような「空き家レベル」であったり、仏壇・神棚・家具等の家財であったり、家主の賃貸の意思であったり、活用することを検討するために必要な材料となる情報です。

空き家がたくさんあるとは言っても、移住者が住みたいと思える空き家となるとグンッとハードルが上がるのが現実です。

例えば、和式のトイレだったり、タイルとホーローの浴室だったり、昔ながらの規格の台所だったり、水回りで拒絶反応が出ちゃうことは多いようです。

全体的な質だったり、あっという間に家のすぐそばまで草ボーボーになる環境だったり、テレビで見た「古民家」のイメージと違う…!っていうのは当たり前なんですが、キラキラした移住に胸を膨らませている 自称・田舎志向 の皆さんには、試合開始そうそうに強烈なカウンターパンチをお見舞いすることになってしまいます。

ちなみに下関市のお隣り長門市では、移住につながる有効な空き家情報の提供者には報奨金を出すという思い切った政策を打ち出し、なんと何件か実際に移住までこぎつけた例もあるようです。

移住者を受け入れるために

移住希望者の「思ってたんと違ァ〜う!」を少しでも解消するために、下関市には「お試し暮らし」という制度もあり、豊北町では角島大橋の近く、本州側にある島戸という集落に、「お試し暮らし」が可能な施設があります。

ただ、この「お試し暮らし」は、2泊3日〜4泊5日という短い期間で、地域の感じを体験してください、という目的の制度なので、(その間の宿泊料は無料なのは素敵なのですが) 住まいも含めてガッツリ移住を考えるというレベルの方には物足りない制度です。

豊北町への移住希望

下関市職員さんのお話では、下関市への移住相談は、人口やエリアの規模の割合を考えると、圧倒的に豊北町の人気が高いそうです。

美しい海と山のある田舎でありながら、角島大橋などの観光地もあり、年間100万人の観光客がひっきりなしに訪れ、観光客向けのオシャレなカフェなども立ち並び、ビジネスチャンスもありそう。

そりゃ住んでみたくなりますよね。

現実的な話をすると、豊北町は下関市・旧豊浦郡4町との合併も挟み、この25年間で人口は半減しました。というワケで空き家はメチャメチャあります。市営住宅も100件とかのレベルでメチャメチャ空いてます。

なのに、移住相談者は「住むところがない」と言い、移住を諦めて山口県内なら宇部市や萩市など、移住者の受け入れに力を入れているまちに方向転換してハッピーな移住ライフを始めています。

オイ、それでいいのか下関市!なーにがShimonoSEXYじゃ!(ShimonoSEXYを使っているのはシンだけ説もありますが)

どうする豊北町の移住者向け住まい問題

今、豊北町が直面している移住者向け住まいの問題は自動車販売に例えると、

クルマを買いに来たけど車がありません…

という状況です。でもわたしには、さっきの話の中で引っかかる点がひとつありました。

「市営住宅が100件空いてる」

そこに住んでもらったらいいじゃない⁉︎

…と発言してみたんですが、市営住宅というものは、経済的な理由で住むところを探すことが困難な人のためにつくられたものであるので、移住者を誰でも入居させていいものではないのだそうです。

イヤ、それでも100戸も空き家つくっといて放ったらかしにするより全然いいじゃん!

…という理屈は行政には通用しません。「市営住宅とはそういうものです」以外の答えはないんです。

一方で、「豊北ハイツ」という市が持っている戸建ての住居には空きが2つあるのでリノベーションして、入居者を募集します、入居期間は最長で5年間です!とのことなんですが…

…エ?

市営住宅はダメだけど、豊北ハイツはいいの⁇

ここにもまた、行政上のルールで「行政財産」「普通財産」というものがあるそうなんです。公立大学に勤めるわたしは、ぶっちゃけ理解はできるのですが、それでも一個人としては聞けば聞くほどモヤモヤしてしまいますので、興味のある方はご自身で調べられてみてください。

住まいと学校見学会 開催予定‼︎

ともあれ、舩木校長は今年の11月18日に、豊北小学校の「すまいと学校見学会」を開催する予定で動いています。

それまでに各地区で空き家情報をできるだけ集め、「こんな家に住めます」のイメージを参加者に提供できるようにしたいですね。

ちなみに11月18日は豊北小学校の「学習発表会」の日です。小学校の雰囲気や児童の様子を見ていただくのにも最適な日となります。

ほうほく未来応援隊にとってもデビュー戦的なイベントとなるはず。

コロナ前には小学校の おやじの会 で「おやじ鍋」を作ってふるまってましたが、今回もしそれが復活するなら、わたしは特に忙しくなりそうです…!

なんだかワクワクしてきますね‼︎