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単独猟デビュー。〜そして縄文へ〜

ってゆーかオレ、ハンターだし

初めての猟期が終わる頃、私は気づきました。

アレ…? 狩猟免許あるし、今は猟期なんだから、単独で狩猟しても良いんじゃん…。

なぜか私は「イノシシ・シカの猟 = 猟友会の巻き猟」という思い込みをしておりました。

禁猟区・休猟区や鳥獣保護区、猟具の制限のあるエリアでなく、法律やマナー・モラルに反しない場所や方法であれば、猟期には銃猟を行って良いのです。そういう免許を持っているんです、私は。

単独猟を行えば、猟師を目指した当初の目的、我が家や近所の鳥獣被害の減少に、私も微力ながら貢献できます。

その頃、シカさんたちは…

なにしろウチの近所では、家庭菜園や住居の周辺をネットやトタン板で囲んだり、田畑の周辺に電気柵をめぐらせたりといった対策はしていても、冬季の田畑や休耕田は完全に無防備で、夜は車も人も通らずほとんどプレッシャーがないので、イノシシもシカも侵入し放題、くつろぎ放題、という状態です。

これはいけない。せっかく猟師になったのに、これではご近所の役にも立たず、他所で獲ったジビエを食べまくっているだけではないか。

と、いうワケで、行ってみた。

2年目の猟期、早速私は週末の早朝、近所の山を見回ってみることにしました。手始めに、我が家が代々所有する山からです。

薄暗いうちから支度を整え、軽トラを山のふもとに停めて、山へ入っていきます。日の出時刻には、山道を歩くには十分な明るさになっています。

軽トラのドアを閉じると、バンッという音に反応して、そこらから「ピャッ!」「ピャッ‼︎」とシカの警戒音が響き渡ります。

同時に、「ガサガサッ」「パキッ」という音がして、シカが跳ねながら遠ざかって行く気配が感じられます。

そりゃまァ…逃げる…よね…。

まァ、今日はまだ様子見です。この時刻にはシカは田畑から山へ帰り始めていて、こんな感じで山の入り口で寄り道しているのな…というコトの確認ができました。

チャンスは突然やってきた

しかし…これからどう捕獲するかな…?

考えながら少し山道を登ります。

時々、遠くや近くでシカの音を聞き、到底発砲できるような距離や位置関係でなく、ガサガサと茂みや林に溶けるように消えていくシカの群れを、散弾を装填することもなく見送ります。

どうしたものかと頭を抱えてしばらく進むと、右手の斜面の途中にある茂みが、突然ガッサガッサと激しく揺れ始めました。

この右手の斜面には、森林組合の方が植樹をしている辺りをグルッと囲んだシカよけネットが設置されています。少し動いて斜面を見上げると、ネットに絡まった若いシカがもんどりうって暴れているのが見えました。慌てて逃げたら引っかかったのでしょう。

千載一遇のチャンスです。

Shin、いっきまーす!

3発、弾を装填し、狙いを定めます。異常な緊張です。パニックでもなく、恐怖でもない、頭から煙が出そうなくらい脳がフル回転しているような感覚です。脳内で何かがドバドバ出ていたのでしょう。

1発目(6粒弾)

自分では、十分に狙いすまして放ったつもりの初矢でした。
それでもやはり、心が整っておらず、基本に忠実な動作ができなかったのでしょう。

ドンッ!

ビックリしたシカは、ますます元気にもんどりうってます。外した!
しかも暴れる勢いで、絡まったネットから外れてしまった!

2発目(スラッグ弾)

斜面を水平方向に逃げるシカ。こりゃいかん!

ドンッ!

これは発砲した瞬間に、自分でも “しまった、急いだ” と思いました。
肩当て、頰付けが全くできていません。しかもスラッグ弾。当然のごとく失中!

3発目(9粒弾)

これはもう、とにかく止めないと、という気持ちで3の矢です。
斜面を斜めに駆け上がろうとするシカの尻をめがけて9粒弾をかけます。

ドンッ!

しかし、もはや当たる気がしません。
シカの後ろ姿から、ヤレヤレ、ヘボ猟師で良かった良かった、という嘆息が聞こえます。

昨シーズン、猟師デビュー戦で、目の前を駆け抜けるオスのシカを、妙に落ち着いて仕留めたあの感じはなんだったのだろう…。

かくして、しょっぱい単独猟デビューは終わり、少しネットの破れを補修してあげて、帰宅するのでした。
“逃げるシカを徒歩で追いかけながら、必死で矢を放つなんて、原始時代の狩りみたいな…” なんて思いながら。