猟銃等経験者講習まとめ(2021年3月受講@山口県警察本部)
INDEX
猟銃等所持許可は3年ごとに更新が必要で、更新申請のためには経験者講習を受講することになっています。
今年度は私が所持許可を受けて6年目なので、山口県警察本部で経験者講習を受け、来年度の更新に備えます。
講習を受講しながら、Macbook Pro開いてメモをとってましたので、せっかくですから記事にすることにします。
狩猟者には大切な内容ですし、狩猟をしない方にはなかなか触れることのない話題でしょうからね。
法令関係
講師は山口県警本部 生活安全課の担当の方です。
私が初心者講習を受講した時の講師でもあり、何度かこの方の講習を受講していますが、物腰も柔らかく、講習も分かりやすいので、山口県内のハンターは皆一目置いていると思います。
誤射に注意
2021年3月15日 栃木県での誤射事件(リンク:NHKニュース)
違反に注意
・発射してはいけない場所
発射した場所から半径200m以内におよそ10件以上人家がある地域
(住居から200m離れているところ、ではない)
・裸銃で携行しない
犯罪に使用される銃
・H26〜H30に全国で犯罪に使用された銃の種類
→ 拳銃…82件、許可銃(散弾銃・ライフル・空気銃)…64件
・県内所持者 5年前…1693人3,000挺強 → 現在…1158名(2,000挺強)
※ 銃所持者、猟銃の数自体は減っている
※ 一方で初心者講習(偶数月開催) 2020年度毎回20名くらい参加
→ 狩猟・害獣駆除に興味を持つ人は一定数いる
猟銃の盗難
・H26〜H30に全国での発生数 4件(7丁)
※ ガンロッカーをこじあけるケース、ガンロッカーごと持ち去るケース
※ 自動車内に放置して盗難されるケース
※ 屋外放置…近年ないが、県内で発生した事例:カモ猟中に獲物を回収に行った際に放置、紛失
保管義務
・自ら保管の原則…自分以外の人間に触らせない(ガンロッカーのカギを家族が触れる状態…NG)
保管庫の設置が認められない場所
・玄関、勝手口、離れ などはガンロッカー設置できない
猟銃等の運搬
・正当な理由がない限り猟銃等を携帯・運搬してはならない
例) ジビエの食材捕獲現場をマスコミ取材…猟場で狩猟しているところの取材でないケース
刃物について
・刃物も正当な理由なく携帯・運搬してはならない
→ 銃刀法違反で罰金になると、所持許可に影響が及ぶ場合もある(欠格事由)
実包等管理帳簿
・決まった様式はない
・譲渡・交付(銃砲店に弾を預ける)は相手方を記入
・偽証しない(射撃練習していないのにしたことにする等) →偽証すると許可取消
残火薬類の措置
・狩猟用の実包、猟期内に購入→猟期終了から1年(翌年度猟期終了)までに消費
→ 「購入から1年」ではないことに留意
所持許可更新申請書類に関すること
所持許可申請時に添付する診断書
・H27以降、精神保健指定医の他、かかりつけ医師発行のものでも可
※ かかりつけ医の場合は様式を持参
※ 「かかりつけ医師」にチェック、前回受診日の記入
※ 厳封の必要はないので、内容を確認すること
※ かかりつけ医であるか確認するために、申請書類提出時に受診日の書かれた診察券や領収証を準備
※ 「かかりつけ医」とはいえ、前回受診日が2年前でも可(明確ないつまで、はないが、3年に1度の更新であることを考慮して常識的な範囲で)
・診断書の有効期限は発行から3ヶ月
・「銃刀法の所持許可申請に必要な診断書」と「狩猟免許申請に必要な診断書」は様式・要件が異なるので注意
使用実績報告書
・使用実績欄が4つあるので、銃の用途を網羅するように記入
経歴書
・所持歴…前回許可証交付時以降に所持に変動がある(抹消した銃がある)場合に記入
実践編
ここからの講師は鹿野射撃場 射撃講習員の藤井さんです。
白髪の短髪に、時々ズレるマスク(笑)の向こうに口髭をたくわえ、ガッチリした体型に紺のブレザーがよく似合うワイルド系紳士です。
「皆さん、今期の猟の調子はいかがですか?」
から始まる講習、ちょっと楽しそうです。ちなみに藤井さんのもとには
「猟期開始は絶好調、正月明けからイノシシが山からいなくなった」
という声が多く届いているそうです。
狩猟中の事故について
今期、事故の報告は山口県内ではなし
狩猟に関する事故は大半猟期に起こっている(有害鳥獣捕獲期は少ない?)
栃木県の誤射死亡事件
北海道石狩市 公道上で発砲、目撃者があって逮捕
豊浦町の農免道路で法面に待機 パトロール中の警察から注意を受けた
登山中の男性に73歳の猟師が誤射
安全な狩猟について
藤井さん サラリーマン時代「安全推進員」… KY活動を徹底する立場
(KY = Kiken Yochi = 危険予知)
狩猟とは本来楽しいもの、趣味。しかし安易な気持ちで取り組むと思わぬ違反や危険に遭遇することもある
動物の生態を知ること
長崎県 有害鳥獣駆除実績全国第2位 から講師を招いてイノシシの生態について講習を開き研究
・イノシシは里山に住む動物 本来は住み分けをするべき。現在は住み分けができていない
・イノシシは非常に警戒心の強い動物里と山の境目の薮から里の様子を伺い、夜になってコソコソっと出てくる
・行動範囲は2km程度
猟銃による事故防止について
事故防止のために射撃練習に行くこと
・事故を起こす人は圧倒的に猟銃の使用回数が少ない
・使用用途に「標的射撃」がなくても狩猟のための射撃練習で射撃練習をしてもよくなった
・山口県では明確な回数の規則はないが、猟期前に3回の射撃練習を目標としている
射撃場で気づいたこと
・射撃場には発砲して安全な方向と危険な方向がある
・安全なのは前方のみ
・左右や上下は構造物等があり危険
→ 装填時に銃口が安全な方向を向いていること
練習を繰り返すことで、ゆとりと自信を持って狩猟ができるようになる
猟銃による事故の内容と原因
銃の暴発 … 不当装填と安易な取り扱い
矢先の安全の不確認 … 安全に対する配慮を欠いた無謀な発射
誤認発射 … 矢先の安全の不確認との違い = 対象を獲物と思い込んでいる
・脱包されていることを確認
・銃口を人に向けない
・用心鉄の中に指を入れない
・銃を手から離すときは脱包する
ハインリッヒの法則 … 1件の重大な事故が発生する背景には29件の軽微な事故があり、29件の軽微な事故の背景には300件のヒヤリハットがある
猟銃による事故防止のために大切なこと
所持者の自覚が足りない → 人を殺傷しうる道具を取り扱っている自覚
狩猟への取り組みが甘い → 動物の生態、猟場の周辺環境にも注意する
ヒヤリハットを起こさない → 基本動作の徹底
…と、猟銃の所持者はこのような講習を3年に1回受け、さらに狩猟者は毎年何度か座学の講習や射撃講習を受けて、安全な銃の取り扱いを学んでいます。
私も気持ちを新たに、今後の安全狩猟に努めたいと思います!