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期間限定 マニアックな豊北町ドライブの楽しみ方! 夏は道端の「サバー様」「サネモリ様」を探せ! 〜奇祭「サバー送り」〜

夏は角島観光のベストシーズン!

…ですが、ほとんどの方が車で訪れ、また田舎道で抜け道もあんまり多くないですから、どうしてもお昼前と夕方の豊北町の道路は混雑しがちです
車窓の風景も、最初は「ワーッ 海ッッッ‼︎」なんてはしゃいでみたものの、あまりにも変わり映えしない景色に退屈してきちゃったな… ってのも田舎ドライブあるあるですね。

そんな時、車の窓から外を眺めるのがちょっとだけワクワクするネタとして

道端の「サバー様」「サネモリ様」を探す!

ってコトを提案してみたいと思います。
まァ… こんなのなんですけどね。

怖ッッヮ!!!!!!

なんでこんな不気味汚い ワケの分からん粗大ゴミみたいなモンをわざわざ探さんにゃいけんのかね!

まぁまぁまぁ…そう言わず、なかなか興味深いお話なんですよ。

サバー様?サネモリ様? それは…「サバー送り」!

世の中に「奇祭」と呼ばれるお祭りは数あれど、こんなにフンワリとフェードアウトしていくお祭りがあるでしょうか…

「サバー送り」

概要

豊北町のお隣り、長門市での 田植えの後に行われる神事からスタートするお祭り で、農作物に害をなす虫を駆除し、作物の無事な生育を祈願する行事です。
長門市の「スタート」に対して「ゴール」は 下関市豊北町 をまたいで 下関市豊浦町 !かなり広範囲にわたって行われるお祭りなんです。

当記事では「お祭り」と表現していますが、長門市ウェブサイトでは

江戸時代から伝わる『虫送り』民俗行事

と表わされています。(長門市公式ウェブサイトはコチラ!

江戸時代!そんなに歴史のあるお祭りだったんですね…!
近代的な通信手段のない江戸時代に、これだけ広範囲の人を巻き込んで、どんなお祭りがなされていたのでしょうか…!

内容

概要だけ見ると、豊作を祈願する 目的も非常にシンプル切実なお祭りですが、その内容は実にユニークです。

まず、地元の人々によって、2体ソコソコ デカいワラ人形 が作られます。
基本的にいわゆる「呪いのワラ人形」っぽい見た目ですが、サバー送りで用いるワラ人形は「騎馬武者人形」です。つまり 馬のワラ人形 にまたがった 武者のワラ人形 というスタイルです。

馬にまたがった武者には和紙に書道用の筆でシャシャッと描かれたような顔が付けれられ、和紙で折られた「折り紙の兜」もかぶされています。
※ 下の写真は、豊北町で既に朽ちかけてしまっていたもので、兜は外れてしまっています

馬の首の周りをグルっと回されたワラの紐が、馬につかまった腕と手綱を表していて、ちょっとコミカルです。

2体とも、外見は同じ騎馬武者人形ですが、それぞれ名前が異なります。

ひとつは 「サバー様」。「サバー送り」の所以たる名前ですが、「サバー」とは、長門市の方言で「ウンカ」という稲を喰い荒らす害虫のコトなのだそうです。

そしてもうひとつは 「サネモリ様」。なんとなく武者っぽい名前のように感じたなら正解!
これは平家の武将 斎藤実盛(さいとう さねもり)が、1183年に加賀国・篠原の戦いで、乗っていた馬が稲の切り株につまずき、その隙に討ちとられてしまったため、その怨念が稲を憎むようになり、田を荒らす害虫になった、という伝説から、こちらも害虫を表しています。

「サバー送り」とは、稲に害をもたらす 害虫に見立てた「サバー様」と「サネモリ様」農村から海岸まで人々の手によって運び、海へと流すことで 害虫を追い払うという儀礼的なお祭りなのです。

 

「サバー送り」の興味深い点

長門市の「県指定の無形民俗文化財」として登録されている

県指定の無形民俗文化財として、山口県のウェブサイトにも掲載されている「サバー送り」
「北浦地方のサバー送り」(山口県公式ウェブサイト)

アレ…?所在は長門市となっています。
民俗文化財としては、下関市は含まれていないんですね…。確かに、豊北町では「知る人ぞ知る」みたいな、半ば 都市伝説 のようなポジションのお祭りかもしれません。私も数年前に知りました。

どうもそういう、「サバー送り」に対する関わり方が、長門市 下関市(豊北町・豊浦町) で異なるようです。

長門市での「サバー送り」

田植えが終わった頃、長門市で「サバー様」「サネモリ様」が人々の手によって作られると、長門市内の飯山八幡宮3日間の神事が行われた後、人形は地元住民の皆さんに担がれて八幡宮を出発し、日置・油谷地区を経由して下関市(豊北町)との境目まで送られます。

この間、2体の人形は集落から集落へと、リレーのようにして引き継がれ、地域によっては子どもが歌を歌いながら、西へ西へと運ばれるそうです。最近は自治会や子供会の行事として、毎年ほぼ同じ日程、ほぼ同じコースを辿り、ほぼ同じ場所に放置されて隣の集落に渡る、ということになっているそうです。

下関市 豊北町・豊浦町での「サバー送り」

…ということで、

ハーイ!長門市の皆さ~んお疲れさまでした~!ココからは豊北町がしっかりリレーして豊浦町まで運びまーす!

…といきたいトコなんですが、なぜか豊北町に入ったとたん、ガラッとルールが変わります

  • 「サバー様」「サネモリ様」は、夜の間に人知れずコッソリ移動させる
  • 害虫や災いを持ってくるから、なるべく早めに動かすこと
  • とは言っても、1~2日はそのまま置いておいて、人形にウンカをつけること
  • 嫌いな人の家の前に置いてくること

楽しい子供会の行事 で運び込まれたものがいきなり 呪いの人形 になっとるやんけ!

だって家の前に長く置いておくと災いが降りかかると言われてるらしいんですよ。でも早く動かせば、その家に幸福がやってくるとも言われてるそうですが…

朝、家の前に サバー様 置かれてたら 絶ッッ対 凹む って!

そんなワケで、下関市に入ると完全に 個人プレイ になるんですね。
だから誰が動かしてるのか分からないし、どこに置かれるのかも分からない。

それでも「サバー様」「サネモリ様」は、すこしずつ本州の西端を今度は南下して、最終的に 豊浦町 の 犬鳴辺りで、地域住民の皆さんの手によって、海岸に流されるそうです。

先の「長門市でだけ県指定の無形民俗文化財になっている」っていう理由がこの、長門市を出たら個人でコッソリやってるから、ってコトなんだそうです。

すげー壮大で、ちょっと怖い 実に興味深い お話でしょ?

サバー送りのピンチ

ところが、この数年で「サバー送り」の様子が少し変わってきているそうです。

本来「サバー様」「サネモリ様」は、ちゃんと 豊浦町の海岸 まで運ばれると、地域の神社の宮司さんが立ち会い、神事を執り行ってから海に流されることになっているそうですが、最近は世代も変わって「サバー送り」を理解していない人や知らない人が多く、海岸まで辿り着く前に「サバー様」「サネモリ様」が朽ち果ててしまったとか、不法投棄された廃棄物と間違えられて業者に回収を依頼してしまったとか、海の近くまで辿り着いた「サバー様」「サネモリ様」個人が海に流してしまったとか、想定外の結末を迎えていることの方が多いようです。(個人で海に流されているのは個人的には本来それで良いのかな、という気もしますが)

見つけたらラッキー!「サバー様」「サネモリ様」!!

というワケで、この時期(8月~9月)、豊北町でちょうど見つかることのできる「サバー様」「サネモリ様」は、こんなに壮大なストーリーを持っているんです。
運よく見つけた方は、

多くの人が関わって、そこにあるんだな…

ということに想いを馳せつつ、無事に海に流されることを祈ってくださいね!

シンが発見した「サバー様」「サネモリ様」

2019年8月時点では、豊北町 二見 の辺りに「サバー様」「サネモリ様」はいらっしゃいます!

すでに馬の脚が立たなくなってました…

後ろに突きあがっているのが恐らく馬の尻尾の部分です。

兜の残骸に毛利の家紋「一〇」を見ました

長い旅路で風雨にさらされ、朽ちたりカビたりしていました。

顔の写真を撮るために起こしてみたけど…倒れちゃいました

災いを移す工程の「サバー様」を触ってしまったんだとしたら…!?

軽率に触ってバチが当たらないか心配です

…触ったお詫びに動かしてあげに行こうかしら…
で、また勝手に動かしたら違うバチが当たるパターンかしら…?

動かすための詳細ルールを ご存知の方おられたら教えてください!

参考にさせていただいた「withnews」さんの記事

withnewsさん の こちらの記事に、分かりやすい説明や各地点での写真が掲載されています。より詳しく知りたい方はどうぞご残照ください。↓
道ばたに「わら人形」な、なんで? 山口の伝統行事「サバー送り」(withnews 2017.9.27)