1. TOP
  2. 田舎暮らし
  3. 狩猟
  4. 初!ジビエセンターにシカを持ち込み。

初!ジビエセンターにシカを持ち込み。


今日は息子の通う保育園の卒園式。息子も在園生として出席します。妻は土曜日は仕事なので、朝、私が保育園に連れて行くコトになっていました。
息子に朝食をとらせて着替えさせて…と準備をしていると、iPhoneが鳴っています。見ると自治会長の名前が表示されていて、それだけでほぼ何の用か察知できるのですが応答します。

自治会長が仕掛けた箱罠にシカが掛かった。
(この時点では私は「シシが掛かった」と勘違いしています。現場に到着してからシカと知りました。)

予想どおりです。息子を保育園に送った後、お手伝いできます、と伝え、電話を切ります。
久しぶりの出猟です。今回は罠猟のお手伝いですが、1月の巻狩り以来になります。

急いで息子を保育園に送り届け、帰宅して真っ赤なツナギに着替え、猟友会キャップをかぶります。
手袋とタオル、念のためにナイフを2本、デイパックに放り込んで、父の軽トラを借りて現場に急行。自治会長はまだ来ていません。

箱罠は自宅から数百メートルの距離に設置されています。
シカは私が車を近くに停めると、箱罠から逃れようと暴れました。罠に掛かってから既に散々暴れたのでしょう、箱罠にシコタマぶつけたと思われる鼻からは血が滲んでいました。小雨が降っていて、罠の中にまかれた餌のヌカがぬかるみのようになり、暴れるシカの足をとり、滑るたびに飛び散っています。

すぐに自治会長と、幼馴染のお父さんが到着し、止めさしの準備に入ります。

箱罠は格子状になっていますので、そこに幼馴染のお父さんと私で次々に青竹の棒を差し込んで渡し、シカの動ける範囲を狭めていきます。
シカも命懸けなので、竹を乗り越えたり身を捩ったりして、なんとかすり抜け、広い方広い方に逃げようとしますが、次々に竹を差し込むうちに、徐々に動きを封じられていきます。

槍を手に、タイミングをはかっている自治会長が、シカの動きが止まる瞬間を見極め、今だ!と判断した瞬間に、シカの左右の前脚の間にある心臓をめがけ、槍を突き込みます。

私は何度か立ち会った場面ですが、この瞬間には毎回モゴモゴと念仏を唱えてしまいます。決して慣れることのない光景です。しかし猟師として、死ぬまで立ち会い続ける光景です。
私たちの食卓に肉がのぼる以上、誰かが目にしている光景なのです。

最初の槍が突き込まれると、シカは断末魔の悲鳴を上げます。理想的なのは、この一撃で絶命させることです。獲物を無用に苦しませることは誰も望まないし、ハンターとして最も許されないことです。

自治会長は私と同じ今期デビューの猟師で、銃猟と罠猟の違いはあれど、踏んだ場数、仕留めた獲物の数は圧倒的に自治会長の方が上です。自治会長は今日、槍を3回突きました。2回目を少し外してしまいましたが、3回目で急所を捉え、シカは横たわったまま、反応がなくなりました。腹の辺りが微細動したように見え、間もなく絶命しました。
自治会長が最初に槍を突いてから5分も経っていません。初めての獲物の際には、箱罠の中で何度も槍で突かれる獲物を目の当たりにし、私は目を反らしながら「ルールを犯してでも私の猟銃で止めをさしてやりたい…‼︎」と思ったあの自治会長が、まるで暗殺者のように手早くシカの止めをさしておられる…!

シカの瞳孔が開き、手で体を触っても反応がなくなったことを確認し、3人がかりで自治会長の軽トラにシカを積み込みます。

このままジビエセンターに持ち込むということなので、私はこれまで、息子の子守があって同行できなかったジビエセンターに行ってみたいと思い、同行を志願しました。
自宅に戻り、自治会長の軽トラの助手席に乗せてもらってジビエセンターに向かいます。

道中では自治会長と狩猟や有害鳥獣駆除に関する意見や現状、将来について語り合います。
これはまた改めて記事に起こします。

ジビエセンターに着くと、職員の方が2名出て来られて、ササーッとシカを建物の中に持ち込み、専用のV字の台に載せて、解体を始めました。
「部外者立入禁止」の張り紙の外で、しばらく様子を見ています。

ノコギリで首を切り落とし、腹を開き…

160319_deerhunt

…自治会長が気付きます。解体している台の下に、シカの胎児が転がっているコトに…。

私は複雑な気持ちです。私たちが駆除したシカは妊婦でした。
「マジかよ…」です。それ以外、何も言えません。

極端にドライに言ってしまえば、殖えるはずだった有害なシカを未然に防ぐコトができた、という点で、ファインプレイです。ゲッツーです。

それでもやはり、シカとはいえ、妊婦と胎児の生命を同時に奪ってしまったという事実は重いです。
胎児には既に「バンビ」のイメージの斑点模様が見えました。なんなんだよ、ッたく…‼︎ です。
何、箱罠なんかに掛かってんだよ…!です。やるせなさMAXです。

やはり、人間と動物、ちゃんと住み分けられる環境が必要です。今後、その辺りについて、意見を挙げていきたいと思います。